諭旨解雇の意味と対象となる人物

最終更新日 2024年4月11日 by olfver

諭旨解雇は労働契約解除の1種とみなすことができます。
一般企業の場合はこの言葉や諭旨退職という言葉で表現されることが多く、公務員の場合は諭旨免職と表現されるケースが多いです。
労働者が解雇に相当する重大な規則違反を犯した場合にこれを実施することができます。
懲戒解雇という言葉を聞いたことがあるはずですが、懲戒解雇は最も重い処分です。
その懲戒解雇よりも若干処分が軽減されたものだと考えることができるでしょう。
諭旨には種子や理由を諭して告げるという意味が含まれており、雇用主が強制的に処分を下すのではなく、雇用主と労働者が話し合って両者納得の形で解雇処分が実施されることになります。
本来であれば懲戒解雇を実施するべきところ、会社の酌量によって処分が少しだけ軽減された諭旨解雇になるケースが多いです。

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解雇の種類

解雇の種類は3つに分けることができますが、普通解雇は傷病や労務不能、勤務実績や態度の不良などを原因として行われます。
整理解雇は業績不振で倒産する可能性がある場合、これを回避するために人員削減目的で実施されるものです。
懲戒解雇は企業秩序を乱す行為を行った、法に抵触して逮捕や起訴されたという場合に行われるので、他の2つとはかなり内容が違っていることを理解しておきましょう。

懲戒処分と違って自分で退職願を提出する

諭旨解雇が行われる場合は、懲戒処分と違って自分で退職願を提出することになりますし、退職金や失業保険を受けることもできます。
雇用主が自分の会社で働いていた社員が路頭に迷わないようにするため、再就職への道が完全に閉ざされないようにするための温情です。
諭旨解雇は本来は懲戒解雇になってもおかしくない状況でありながら、雇用主の温情で処分が軽減されているだけなので、退職金や失業保険の対象となってもキャリアに大きな傷がつくことになります。
再就職のときにはこの事実を必ずしも伝える必要はありませんが、離職票を提出しなければならない場合、退職証明書を提出しなければならないときは退職理由が明らかとなるので要注意です。

応募した企業が前の勤め先に連絡を入れるケースも・・

応募した企業が前の勤め先に連絡を入れるケースもあるので、そのときに知られてしまう可能性もあります。
こうした処分を受けたことを隠して再就職に向けて動き出したとしても、再就職を希望する企業に知られてしまう、内定した企業にバレてしまうという可能性があることを理解しておく必要があるでしょう。
また、懲戒解雇となっても不思議ではないような違反行為や詐称、問題行動などがあった人物に対しては解雇予告なしで解雇を行うことが可能です。
通常の解雇は30日前に予告する必要がありますが、懲戒解雇に相当する問題を引き起こした場合は突然契約を解除されることになると知っておきましょう。

懲戒解雇事由として代表的な内容を知っておく

説明だけではどのような場合にこの処分を実施するべきなのか、どういった場合にこの処分を実施されてもおかしくないのか判断することが難しいと感じるかもしれません。
その場合は、懲戒解雇事由として代表的な内容を知っておくと判断を行いやすくなります。
最終学歴や職歴、犯罪歴などを含む重要な経歴詐称を行った場合が該当するでしょう。
偽った状態で入社することができても、何かの拍子に詐称が明るみに出ると処分を受けることになりかねません。
業務上横領や金銭的な不正も含まれ、インサイダー取引なども該当します。
転勤や出向の拒否、企業にとって重大な業務命令を拒否した場合にも処分が下される可能性があるので注意が必要です。
無断欠勤が続いた場合も、この処分を受けることになる可能性があります。
他には、同じ職場の従業員などにセクハラやパワハラなどの行為を行った場合が該当するでしょう。
代表的な内容としてはこういったものが多いですが、労働契約の基本的な趣旨に反しなければ他の内容でも懲戒解雇事由となり得ることを知っておくべきです。
いずれかの内容に該当する場合で温情措置があれば、諭旨解雇という処分になることがあります。

諭旨解雇は懲戒解雇を温情によって軽くしただけのもの

このように、諭旨解雇は懲戒解雇を温情によって軽くしただけのものであり、重大な規約違反や問題行動があった場合に実施されることだと言えるでしょう。
懲戒解雇と違ってそれほど重い問題ではないと勘違いしている人もいるかもしれませんが、経歴に大きな傷がついてしまうことなどは同じだと言えます。
対象となる人については全て明確に決められているわけではないので、企業から見て大きな問題を抱えている社員だと判断されると処分が下されることがあるので注意しておいてください。
もちろん、不当な理由でこれが実施された場合は裁判で争うことができます。
社会人であれば1度は耳にしたことがある人が多いはずですが、詳しい内容や対象となる人物まで知らない人は多いです。

まとめ

知っておかなければこれに該当してしまう問題行動を引き起こしてしまうような可能性もあるので、あらかじめこの処分の内容について詳しく知っておくことが大切だと言えるでしょう。