山手線で始まった新型車両が、いま房総の海沿いを走っている

房総の駅でホームに立っていて、思わず二度見したことがあります。
入ってきたのが、山手線で見慣れた顔の車両だったからです。

はじめまして、坂本亮介と申します。
地方の情報誌の編集部で10年ほど観光施設を取材し、いまはフリーで書いています。
中学生のときに青春18きっぷで一人旅をして以来の乗り鉄です。

この記事では、山手線に最初に入った新型車両が、どういう経緯で千葉県の海沿いまで走るようになったのかを整理します。
どこまで来ているのかは勘違いされやすいので、JR東日本の公式資料で確かめました。

山手線に入った車両が、横須賀線と総武快速線に回ってきた

この車両の形式はE235系です。
まず山手線に入り、2017年5月22日から量産車が営業運転を始めました。
JR東日本の発表では49編成を入れ、2020年春ごろまでに当時の主力だったE231系500代を置き換える計画でした。

2018年9月4日、同社は横須賀線・総武快速線用にもE235系を新造すると発表します。
11両編成を51編成、4両編成を46編成、合計745両という規模でした。
数字は横須賀・総武快速線用車両の新造についてにあります。

営業運転が始まったのは2020年12月21日でした。
この車両は「1000番代」と呼ばれることが多いのですが、当時のニュースリリースにその表記は出てきません。

山手線のものとの主な違いは3点です。

  • グリーン車を連結している
  • 普通列車のグリーン車としては初めて、全席にコンセントと無料の公衆無線LANを備えた
  • 停電などで駅間に止まったとき、蓄電池の電力で最寄り駅まで走れる非常走行用電源装置を同社で初めて搭載した

房総のどこまで来ているのか

ここが誤解されやすいところです。
公式の運行区間は次のとおりです。

路線区間
横須賀線東京〜久里浜
総武快速線東京〜千葉
内房線蘇我〜君津
外房線千葉〜上総一ノ宮
総武本線千葉〜成東
成田線佐倉〜香取、成田〜成田空港
鹿島線香取〜鹿島神宮

館山や安房鴨川、勝浦、銚子には入りません。
その先を走っているのはE131系や209系です。

区間がここで切られる理由は利用者数を見ると納得できます。
JR東日本の路線別ご利用状況によると、2024年度の1日平均通過人員はこうです。

  • 山手線(品川〜田端・新宿経由)970,169人
  • 内房線(蘇我〜君津)53,025人
  • 内房線(館山〜安房鴨川)1,323人
  • 鹿島線(香取〜鹿島サッカースタジアム)1,180人

君津を境に利用者数はひと桁変わります。
それでも同じ形式が、97万人の環状線と1,180人の鹿島線の両方を走っています。

入れ替わりに姿を消したE217系

E235系が増えるのと引き換えに横須賀線から消えたのがE217系です。
1994年12月のデビューで、近郊形の電車としては初めて片側4扉を採用した車両でした。
ボックス席のあるセミクロスシートが残っていたのも特徴でした。

E235系の普通車は全車ロングシートです。
座席の幅はE217系より10mm広く、空調も容量の大きなものに変わりました。
混雑する区間ですから納得はできますが、海沿いで横向きに座るのは少し惜しい気もします。

E217系が定期運用から退いたのは2025年3月8日とされています。
引退を告げるプレスリリースもセレモニーもなく、静かに消えました。
30年走った車両の最後がこれかと、あとから知って落ち着きませんでした。

置き換え前の空気は、その時期に書かれた記録によく残っています。
E217系とスカ色の来歴をたどった浜西慎一さんの鉄道ブログは、まだこの車両が現役だったころのもので、当時の見え方が残っています。

まとめ

山手線で走り始めたE235系は、2020年12月から横須賀線・総武快速線にも入り、いま千葉県内まで足を伸ばしています。

見に行くなら、房総側は君津、上総一ノ宮、成東、鹿島神宮が折り返しの目安です。
そこから先は別の車両の受け持ちです。

同じ顔の電車が、97万人の環状線から1,000人台のローカル線までつながっている。
そう考えると、次に房総へ行くときの見え方も変わるはずです。

最終更新日 2026年9月9日 by olfver