「金の価格がまた上がってる」。ここ数年、ニュースでこのフレーズを聞かない日はないくらいです。私は都内のIT企業でプロジェクトマネージャーをしている三浦健一、46歳。もともとメーカーの経理部門にいた経験もあって数字を追うのは嫌いじゃないんですが、40歳を過ぎてから「自分の老後資金、このままで大丈夫なのか」と真剣に考えるようになりました。
株式投資や投資信託、iDeCoと一通り手を出してきて、次に気になったのが金(ゴールド)です。調べ始めたら、金価格の上がり方が尋常じゃない。国内の小売価格は1グラム2万円台後半に到達し、国際市場では1トロイオンス5,000ドルを突破する場面もありました。
なぜここまで上がっているのか。この先も上がり続けるのか。私と同じように「気にはなってるけど、よくわからない」という方に向けて、自分が調べたことを整理してみます。
目次
2026年、金はいくらまで上がったのか
まずは数字の確認です。「金が上がっている」とは聞くけれど、実際どれくらいなのか把握していない方も多いはず。
国内価格の推移
田中貴金属工業の公表データによると、2026年3月3日には国内店頭小売価格が1グラムあたり29,969円を記録しました。3万円の大台にあと一歩。10年前の2016年頃は4,000円台だったことを考えると、約7倍です。
その後、5月下旬には22,930円まで調整する場面もありましたが、6月上旬には24,000円台まで持ち直してきています。下がったとはいえ、2万円台前半。数年前なら「高すぎて手が出ない」水準です。
国際価格の推移
ニューヨーク金先物は2026年1月下旬に初めて1トロイオンス5,000ドルの大台を突破し、1月29日には一時5,600ドル近辺まで急騰しました。野村證券のレポートでも「歴史的な水準」と表現されています。
参考までに、2025年の金価格は年初来で約64%もの上昇を記録。これだけでも異例の動きです。
| 時期 | 国内小売価格(税込/g) | 国際価格(ドル/オンス) |
|---|---|---|
| 2016年頃 | 約4,000円台 | 約1,200ドル |
| 2024年初頭 | 約10,000円台 | 約2,000ドル |
| 2025年10月 | 約20,000円超 | 4,381ドル(過去最高値) |
| 2026年1月末〜3月 | 約28,000〜29,000円台 | 5,600ドル近辺(史上最高) |
| 2026年6月 | 約24,000円台 | 4,000ドル台 |
数字を並べてみると、上昇ペースの異常さがよくわかります。わずか10年で価格が7倍。不動産や株式でもここまでの上昇率はそうそうありません。田中貴金属工業の日次金価格推移では1973年からの長期チャートも公開されていますが、2020年代後半の傾きは過去50年で最も急です。
金の価格が上がり続ける5つの理由
「なんとなく上がっている」ではなく、上昇の背景にはかなり明確な構造的要因があります。私が調べた範囲で、特に大きいと感じた5つをまとめます。
世界の中央銀行が金を買い続けている
これが最大の要因だと私は思っています。ワールド ゴールド カウンシル(WGC)の統計によると、世界の中央銀行は2022年から2024年にかけて3年連続で年間1,000トンを超える金を購入しました。これは世界の年間金産出量(約3,500トン)の約30%に相当します。
なぜそこまで買うのか。きっかけは2022年のウクライナ侵攻後、ロシアの外貨準備が凍結されたことです。「米ドル建て資産が突然使えなくなるリスク」を各国の中央銀行が目の当たりにし、「金に替えておこう」という動きが一気に加速しました。
特に目立つのが中国人民銀行の動き。2026年に入ってから購入ペースが加速しており、3月には月間約5トン、4月には約8トン、5月には約10トンと増加を続けています。
米国の財政悪化とドルへの不安
米国の連邦政府債務残高は膨張を続け、2025年時点でGDP比約124%に到達。IMFの予測では2031年までに142%まで上昇する見通しです。
ピクテ・ジャパンのレポートでは、この状況を「通貨価値下落(Debasement)へのヘッジ需要」として金価格上昇の構造的要因に位置づけています。簡単に言えば、「ドルの価値が目減りするなら、金で持っておいたほうがいい」という判断が世界中の投資家に広がっているということです。
2025年11月末時点で、ファンド経由での金需要は年間700トンを超えました。これは年間採掘量の約2割弱にあたる規模です。
地政学リスクの長期化
ウクライナ情勢は依然として収束の兆しが見えません。中東ではイラン情勢が不安定化し、2026年3月にはホルムズ海峡が事実上封鎖される事態にまで発展しました。台湾海峡をめぐる米中の緊張も続いています。
金は「有事の金」と呼ばれてきましたが、今の世界情勢は「有事が常態化」している状態です。紛争や政治的対立が世界のどこかで続く限り、安全資産としての金需要は簡単には冷めません。
インフレへの備え
トランプ政権の関税政策をきっかけにスタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)懸念が高まったことも、金買いの追い風になりました。
物価が上がり続ける局面では、現金の購買力は目減りします。一方、金は「モノ」なので物価上昇に連動しやすい。この性質がインフレ時代の資産防衛手段として再評価されています。
金の供給は簡単に増やせない
需要が急増しても、供給側がすぐ追いつけないのが金という商品の特徴です。新しい金鉱山を開発するには10年以上の歳月と莫大な投資が必要で、年間の産出量は3,500トン前後から大きく増やせません。
需要は急増、供給は横ばい。価格が上がるのは当然の帰結です。石油やレアメタルのように代替技術で需要が減る可能性もほぼなく、この需給の構造的な不均衡は当面解消しそうにありません。
専門家はこの先をどう見ているのか
「今が天井」なのか「まだ上がる」のか。正直、素人の私には判断がつきません。そこで、主要な金融機関のアナリストたちの見解を整理してみました。
強気派の見通し
J.P.モルガンは2026年第4四半期の金価格平均を1オンス6,000ドルと予測しています。2027年には6,300ドルまで上昇する可能性にも言及。同社のGreg Shearer氏(卑金属・貴金属部門責任者)は、中央銀行の買い需要と地政学リスクを主な根拠に挙げています。
他の主要機関の見通しも並べてみます。
- J.P.モルガン:2026年Q4に6,000ドル、2027年に6,300ドル
- BNPパリバ:2026年末までに6,000ドル
- ANZ:2026年Q2に5,800ドル
- UBS:2026年末に5,500ドル(やや控えめ)
いずれも「上昇基調は続く」という点では一致しています。
注意すべきリスク要因
ただし、一本調子で上がり続けるわけではありません。2026年の市場では実際に、いくつかの要因で急落する場面がありました。
- FRBの利下げ期待が後退し、タカ派的な次期議長人事が発表された局面
- 急ピッチな上昇後の利益確定売り
- 先物市場での証拠金引き上げによる投機筋の撤退
野村證券のレポートでも「2026年は荒れ相場を警戒したい」と指摘されており、短期的には大きな値動きに振り回される可能性は十分あります。長期の上昇トレンドと短期の乱高下は、分けて考える必要があります。
40代サラリーマンの私が金投資に注目する理由
ここからは少し個人的な話になります。
株や投信だけでは足りないと感じた
私は新NISAで投資信託を積み立て、iDeCoもやっています。それでも、ポートフォリオが株式に偏りすぎていることがずっと気になっていました。
2025年の株式市場は米中関税問題で大きく揺れ、一時的にかなりの含み損を抱えました。あのとき金は逆に上がっていたんです。「株が下がっているときに上がる資産」の存在感を、身をもって実感しました。資産全体の値動きを安定させるには、株式と逆相関になりやすい資産を混ぜておくのが鉄則。頭ではわかっていたつもりでしたが、実体験で腹落ちした感覚です。
「持っているだけでいい」安心感
金は配当も利息も生みません。株や債券と違って、保有しているだけではインカムゲインはゼロ。そこが欠点だとよく指摘されます。
でも裏を返せば、企業の業績も政府の信用も関係なく、金そのものに価値がある。何千年も前から人類が価値を認めてきた資産です。最悪のシナリオで通貨が紙くずになっても、金は金のまま。この「最後の砦」感は、40代で家族を養う立場の人間にとって、数字以上の安心感があります。
金投資を始めるなら、まず何から手を付けるべきか
ここまで読んで「金投資、ちょっと調べてみようかな」と思った方に向けて、私なりに感じた入り口をお伝えします。
まずは情報収集から
金投資について調べるなら、YouTubeが手軽です。テキストだけでは掴みにくい「積立の仕組み」や「購入の流れ」が動画だとスッと入ってきます。
私が参考にしたチャンネルのひとつが、株式会社ゴールドリンクが運営するYouTubeチャンネルです。純金積立の基本的な仕組みやサービスの特徴を短い動画で解説していて、通勤電車の中でもサクッと見られます。金投資に興味はあるけど何から手を付ければいいかわからないという段階の方にはちょうどいい内容です。
少額から始められる積立型が初心者向き
金投資の方法はいくつかありますが、初心者が最もハードルが低いのは「積立型」の商品です。毎月一定額を積み立てていく方式で、一括購入のように「買うタイミングを間違えたらどうしよう」という不安が少ない。
積立型のサービスを選ぶときに見ておきたいポイントをまとめます。
- 月々の最低積立額はいくらか
- 手数料やスプレッド(買値と売値の差)の水準
- 積み立てた金を現物で受け取れるかどうか
- 途中解約や売却の条件
- 担当者のサポート体制があるか
特に「現物受取ができるかどうか」は見落としがちですが、いざというときに実際の金を手元に置けるかどうかは安心感に直結します。各社のサービスページや資料請求で比較するのがおすすめです。ネット証券経由の金ETFと、貴金属販売会社の積立サービスでは仕組みも手数料体系もまったく違うので、「何が自分に合っているか」を知るために2〜3社は比較してみてください。
分散投資の「一枠」として考える
金だけに全資産を投じるのはリスクが高い。これは間違いありません。金には配当がないし、短期的な値動きも大きい。
私のスタンスは「ポートフォリオ全体の5〜10%程度を金に振り向ける」というもの。株や投信で攻めつつ、金で守る。この組み合わせが40代サラリーマンの資産防衛にはちょうどいいバランスだと感じています。
まとめ
金の価格が上がり続けている背景には、中央銀行の大量購入、米国の財政悪化、地政学リスクの常態化、インフレヘッジ需要、供給の制約という5つの構造的要因があります。
主要な金融機関のアナリストは2026年末に向けて5,500〜6,000ドルの水準を見込んでおり、長期的な上昇トレンドに変わりはないとの見方が多数派です。ただし短期的な乱高下は避けられず、「いつ買ってもOK」というほど単純な話ではありません。
私自身は「今の世界情勢を見る限り、ポートフォリオの一部に金を組み入れておくのは合理的な選択だ」と判断しています。まずはYouTubeやWebサイトで情報を集めるところから始めてみてはいかがでしょうか。調べれば調べるほど「なるほど、金を買う理由はちゃんとあるんだな」と実感できるはずです。
最終更新日 2026年6月12日 by olfver








